【コラム】豊洲市場で機能していなかった「内部統制」の構築方法とは?

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【コラム】豊洲市場で機能していなかった「内部統制」の構築方法とは?

豊洲市場(東京都江東区)の「盛り土」未実施問題で、東京都の小池百合子知事は、11月1日、記者会見で2回目の内部検証報告書の内容を報告し、未実施決定に関与した責任者8人を特定したと発表しました。
一連の盛り土問題では、縦割りの組織の中で意思決定がうやむやにされ、小池都知事はその発生原因について「ガバナンス(内部統制)、責任感の欠如」と強い不満を明らかにしています。内部統制が機能していないことが原因とのことですが、内部統制とは一体どのようなことを指すのでしょうか?

内部統制には4つの目的がある

金融庁長官の諮問機関である企業会計審議会内部統制部会が公表している「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」によると、内部統制には4つの目的があります。
(1)業務の有効性及び効率性
(2)財務報告の信頼性
(3)事業活動に関わる法令等の遵守
(4)資産の保全
また、上記の4つの目的を達成するために、「統制環境」「リスクの評価と対応」「統制活動」「情報と伝達」「モニタリング」「ITへの対応」という6つの基本的要素があります。

内部統制を分かりやすく説明すると、不正や不祥事などが起こらないような業務の仕組み・ルールづくりのことです。例えば、従業員が出張旅費を精算する際、内部統制がないと口頭ベースの依頼でも精算できます。しかし、内部統制がある場合、経理担当者による出張の証憑や旅費に関わる領収書のチェック、承認者(通常は従業員の上司)による精算書類の承認がないと従業員へ払い出しができません。このように出張した従業員、そして経理担当者による不正がないように、チェックポイントや承認のプロセスが置かれています。
従業員の少ない事業者は必須ではありませんが、社会的影響力の大きい企業(会社法では大会社と委員会設置会社、金融商品取引法では上場会社とその連結子会社)に対しては、内部統制システムの構築が義務化されています。
内部統制システムが適切に運用されていると「業務の効率化」「効果的なリスクマネジメント」「業務プロセスにおけるノウハウの蓄積」などが期待できます。それでは、どのように内部統制の仕組みを構築し、運用していけばよいのでしょうか。

内部統制の仕組みの構築と運用方法

内部統制の仕組みづくりは、大きく分けると以下の3つになります。
(1)基本的な計画や方針を決定する
(2)計画や方針を整備し、その状況を把握する
(3)把握したうえで不備があれば対応し、是正する

(1)では具体的に責任者の選定、範囲、スケジュール、プロジェクトチームの編成、内部統制構築後のトレーニング方法などを決定し、企業にとって何がリスクになっているかを検討します。そして(2)で社内の内部統制の整備状況を把握し、業務の中に組み込まれた内部統制によって低減できるリスクへの対策や措置を具体化。その後(3)にて(2)で把握された不備を適切に是正して運用していく、という流れです。
しかし、内部統制には限界もあるようです。まず、内部統制に対応するためのコストは平均1億6,000万円といわれ、莫大なコストがかかります。さらに、従業員の判断の誤りや不注意から起こったミスを複数の担当者が共謀して隠蔽する、想定していない突発的な企業内外の環境の変化に対応できない、経営者自身が内部統制を無視する、などが内部統制を困難にさせる要因だと言われています。

中小企業や非上場企業はどうすればいいのでしょうか。内部統制は、すぐ利益に直結するようなものではないので、今までの企業努力により積み上げてきた利益から出費することは、経営者にとってそう簡単に納得できるものではないでしょう。
中小企業の場合、従業員が多くないので経営者自身が会社全体の細かい点まで目が届き、自然と内部統制がとれていると思います。それでも「業務規定やマニュアルを作る」「業務は長期間一人だけに任せない」「経費などお金がかかわるものに関しては上司や経営者の承認を得るようにする」などに注意するといいでしょう。
非上場企業は従業員も多く、経営者だけでは企業全体を管理できなくなっていると思います。上場や大企業を目指しているなら内部統制の構築にいち早く取り組むべきです。「ミスや不祥事が起きた場合にどう対応するか」「経営幹部を育成し組織的な経営にする」「従業員の教育」などが最優先になりますが、どうしていいのか分からない場合は、公認会計士に内部統制のコンサルタントを依頼するといいでしょう。
導入を先延ばしにすると、それこそ豊洲市場のように、なかなか解決できない問題が潜んだままになってしまうのかもしれません。今後、企業の成長を見込んでいる経営者の方々は、内部統制の仕組みや機能を理解したうえで、導入を視野に入れていくことが必要になるでしょう。

(記事提供/株式会社エスタイル)

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