【コラム】必見! 円滑なIFRS導入に向けての予備知識

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【コラム】必見! 円滑なIFRS導入に向けての予備知識

JPX(日本取引所グループ)の資料によれば、2016年8月現在の国際財務報告基準(以下IFRS)導入上場企業数は、予定も含めると計121社にのぼることがわかりました。
IFRSとは、International Financial Reporting Standardsの略称で、IASB(International Accounting Standards Board:国際会計基準審議会)が策定する会計基準です。
2005年に、欧州連合(EU)域内の株式市場に上場している企業の、IFRSによる財務報告の義務付けが始まって以来、現在100カ国以上がIFRSを適用しています。米国でも、自国基準を保持しながら、自国基準とIFRSとの差異を縮小することで共通化を図る「コンバージェンス」プロジェクトが推し進められてきました。そして日本でも、米国の動向を受け、コンバージェンスの方向へ動き始めています。
ここでは、日本におけるコンバージェンスへの動き、IFRS導入のメリット・デメリット、実際の導入への進め方をご紹介していきたいと思います。

日本のこれまでの動き

EUは、2005年に域内の上場企業にIFRSによる報告を義務付けました。IFRSは、原則主義であるとともに、資産から負債を差し引いた「純資産」に重きを置く「貸借対照表主義」です。
これに対し、日本基準は規則主義で、収益から費用を差し引いて算出した値に重きを置く「損益計算書主義」です。このため、考え方の違いが大きいことを理由に、しばらくの間はIFRSへのコンバージェンスには距離を置いていました。
その後、EU域内の上場企業以外にもIFRS導入の動きが見られ、会計基準の孤立を避けるために、2001年にASBJ(企業会計基準委員会)を創設し、コンバージェンスへ向けて動き始めました。
2009年、金融庁企業会計審議会が2010年3月期からIFRSの任意適用を容認し、そして2012年にIFRSの強制適用を判断するとしました。
しかし、IFRS適用が予想以上に難航したことと、2011年の東日本大震災も追い討ちとなり、期限内適用は困難であるとの結論に至ります。
2013年6月の企業会計審議会で、「IFRSへの対応のあり方に関する当面の方針(当面の方針)」を公表し、強制適用の是非等については、結論を出す状況にないとしています。

IFRS導入のメリット・デメリット

メリットは、何といっても共通の物差しである国際財務報告基準を用いることで、たくさんの企業実態の把握が可能になることや、国内外の投資家からの資金調達の可能性が広がるという点でしょう。
また、海外子会社を含むグループ全体で同じ会計基準を使用すれば、財務情報を分かりやすく均一な情報として把握することが可能で、ガバナンスにおける業務効率の向上も期待できます。
一方のデメリットは前述の通り、導入に際し多くの時間・労力・費用がかかる点です。多くの時間がかかる分、適用が完了するまでの間は、少なくとも日本基準とIFRSの2つの会計基準を用いて財務報告をしなければなりません。
そして、「貸借対照表主義」のIFRSは、例えば売却目的で保有に分類された非流動性資産の取り扱いなど、日本基準には規定のない資産が報告対象となるため、管理する手間がさらにかかるといえます。

導入への進め方

それでは、いざIFRSを導入する際、どこから手をつければよいのでしょうか? 導入支援する多くの監査法人や会計事務所が、大まかに次のようなプロセスを踏んでいます。
●影響度の調査・差異分析
●導入計画の策定・連結対象範囲の決定
●導入計画の実行(会計・業務マニュアルの作成、システムの開発など)
●導入・導入後の対応

ただ、IFRS導入プロジェクトを進めるにあたり、通常業務に付加がかかる可能性があります。既存スタッフへの過度な負担とならず円滑な導入を行うには、公認会計士といったプロフェッショナルの助けを借りるのが効率的といえそうです。
自社で推進するか、プロフェッショナルのサポートを頼むか。いずれにせよ、導入の目的を明確化し、経営トップの強力なリーダーシップのもと、プロジェクトを牽引していくことがカギとなりそうです。

(記事提供/株式会社エスタイル)

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