【コラム】ネット時代だからこそ知りたい著作権侵害の判断基準

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ネット時代だからこそ知りたい著作権侵害の判断基準

誰もが情報発信できる時代になった。新聞社やテレビ局といった既存メディアが独占していた時代とは異なり、一個人でさえ大きな反響を生み出せるメディアを持つことができる。
趣味の範囲内でTwitterやFacebookを楽しむこともあれば、営利を目的としたサイトを立ち上げる人や企業など、その様態はさまざまだ。

自らが発信するSNSの反響が大きくなれば、必然的に著作権の意識が強くなる。作成した記事、写真を引用されると、その価値は下がってしまう。著作権を侵害した第三者は罪に問われることとなり、最悪の場合は懲役刑もあり得る。引用元から許可を得ておけば問題はないが、無断使用は大きな禍根を招きかねない。

何が著作権法に違反するのか

なかには著作物を許可なく使えるものもあるが、一度は利用範囲を確認しておきたいものだ。著作権を保護されているものに、ソフトウェアやプログラミング、画像、文章、音楽、歌詞、イラストなどがある。このなかで、軽い気持ちでやってしまいがちなのが文章の引用だ。
著作権法30~50条において自由利用の規定が設けられている。ここで問題となるのが、32条の「引用」についての部分である。他人が自身のブログやSNSなどの著作物に第三者の記事を載せた場合、著作権法に違反するかが焦点になる。

同法32条には、「引用の目的上正当な範囲内で」他人の著作物を引用して利用することができると規定されている。正当な範囲内であれば適法になると書かれているが、この解釈を誤れば違法行為になってしまう。「正当な範囲内」とは、どこまでが許容されるものなのかを理解する必要がある。
実際、2009年5月、他のHPで掲載していた文章を自身のブログに、権利者に無断で掲載していたことが原因で、著作権法違反の疑いで逮捕された人がいる。

IT弁護士の見解を仰ぐ

引用箇所がある著作物は、主従関係に分けることができる。
「主」とは、製作者がつくったオリジナルの文章で、著作物の骨格部分である。一方、「従」は、第三者からの引用部分であり、メインの「主」文章を補完する役割をはたす箇所である。

下記のように整理できる。

【コラム】ネット時代だからこそ知りたい著作権侵害の判断基準
通常、オリジナル文章は、「主」であるから文章量は多く、内容も充実したものになっている。引用箇所については、わずかなセンテンスで、内容はワンポイント的な意味合いが強くなる。著作権侵害の有無は、主従関係を確認しながら、その質量を見極めて最終的に判断される。

ITという言葉が死語になるくらい、私たちの生活にはネット経由の情報が溢れかえっている。ネットを見渡せば類似したコンテンツが横並びで表示される。いわゆる「コピペ」されたと思われる情報が少なくないため、どの範囲まで著作権を主張できるか迷うほどである。
少々のことで目くじらを立て、著作権侵害と騒ぎ立てるのも文化の進展の妨げになるが、財産的な価値が損なわれるようなら黙って見逃すわけにはいかないだろう。とりわけ企業や団体の情報発信には営利的色彩が強く現われてくる。その情報によりコンテンツとしての利用価値が高まれば、たかが引用では済まされなくなる。

財産的価値が損なわれるような引用には、毅然とした対応が求められるようだ。引用が著作権侵害にあたるのか、引用先に削除要請ができるのか、など判断の難しい要件には弁護士の見解が欠かせない。できればIT法務を専門とする弁護士の判断を仰ぎたいものだ。ネットが普及する前には考えられなかった著作権侵害が多発している。

個人から企業までが自前のメディアを持てる時代。情報がお金を生み出し、個人や企業の顔となる。IT業界はまだ新しい業界なので、案件にあてはまる法令がないこともあれば、既存の法律にあてはめて対処することもあり、専門の弁護士でないと対応が難しい面も多いだろう。しかし、自前の情報が侵害されるようならば、法律に則り粛々と解決していくことが今の時代の常識となりつつある。

(記事提供/株式会社エスタイル)

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