国際取引を成功させるには【コラム】

法律事務所 国際法務

国際取引を成功させるには【コラム】

近年、海外企業との国際取引が増えています。円高の影響もあるのか大企業だけでなく、中小企業もその数は増加していますが、反面、トラブルも増えています。
例えば、アメリカの企業と契約の話が進み、英語が堪能なスタッフに対応や連絡、契約書などを確認してもらったとしましょう。そのスタッフも日常会話、ビジネス会話なら英語で対応できるでしょうが、法律用語となると専門の知識がないと理解はできません。契約後にトラブルが起き、「この内容はそういうことだったのか」と認識しても、すでに手遅れです。では、どう対処すればいいのでしょうか。

契約を交わす前に国際弁護士に相談する

海外取引では、商品の品質(不良、相違、不完全な梱包、破損、汚染、変質)について、数量や重量不足、出荷の相違や遅延、価格の違約、支払いの遅延や不能、契約の解除、コミュニケーション不足・説明不足による認識や理解の相違などのトラブルが発生しがちです。
これらの問題を解決するために、準拠法の問題も生じます。準拠法とは、契約の法的解釈をする場合、どの国の法律を基準とするか、その該当契約に適用される法律のことを指します。国によって法律は違うので、「交渉力の強い企業が自国の法律を準拠法として主張する」「双方が自国の法律を準拠法として主張する」「双方が平等となるよう第三国の法律を準拠法とする」などが考えられますが、いずれにしてもトラブルが生じてからでは対処が遅れてしまいます。
取引の契約を交わす際には、準拠法をどうすべきか、契約内容がリスキーではないかなどを前もって国際弁護士に相談するのがよいでしょう。

国際弁護士は、明確な定義があるわけではないようです。国際弁護士の肩書きでテレビ出演している弁護士もいますが、総じていえば外国の弁護士資格を有していることで、国際弁護士と名乗っている場合が多いでしょう。でも、外国の弁護士資格を有しているだけでは、日本法による活動はできません。国際取引をする際に日本で弁護士を探すなら、以下のいずれかになります。
●取引先の国との国際取引を扱った実績がある、国際取引に詳しい弁護士事務所を探す
●日本の弁護士資格と、取引先の国の弁護士資格を持つ弁護士を探す
●取引先の国の弁護士資格者がいる、日本の弁護士事務所を探す
●取引先の国と日本に、本部や支部を持つ海外大手の弁護士事務所を探す
●取引先の国の弁護士事務所とパートナーを組んでいる日本の弁護士事務所を探す

国際取引では日本の常識は通用しない

海外企業との取引では契約を結ぶ前に、まずは相手の企業にどのようなリスクがあるのかを、弁護士事務所に調べてもらいましょう。交渉している相手が実はその企業に所属していない、交渉相手が代表権を有していない、企業の実体がない、資金不足、国際支援が悪化していて損害を被る可能性があるなども考えられます。また、日本の法律とは異なることも多いので、以下の法律内容に触れそうなら注意が必要です。
知的財産法……各国により異なる
競争法……先進国の競争法は、自国の競争状態に影響を与える場合のみ域外適用が認められる
労働法……現地に子会社を設立し、現地の従業員を雇用した場合、現地の労働法が適用される
M&A 関連法……アメリカの規制にならって行われることが多い
製造物責任法……もともとカリフォルニア州の最高裁判例で認められ始まった法律。アメリカでは特に厳しい制裁が科される
環境規制法……廃棄物や汚水、空気汚染などは現地の環境規制に従う
電子商取引法……準拠法と国際裁判管轄を契約時に決める

あまり考えたくないことですが、契約書には取引相手と意見が合わず、紛争になったときの解決方法を定めておくことも重要です。紛争解決方法には、民事裁判と仲裁があります。さらに裁判管轄か、仲裁地かなども選択しておくといいでしょう。

取引相手の海外企業から、「契約を早急に交わしたい」と急かされることがあるかもしれませんが、何も考えずにサインをしてトラブルが起きてしまうと、高額な賠償金を支払う可能性もあります。必ず国際取引を専門としている弁護士事務所に確認してもらいましょう。

(記事提供/株式会社エスタイル)

【前回分】国際取引全般に強い法律事務所を探す

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