海外進出の際に知っておきたい、税務のポイント【コラム】

会計事務所 国際税務

20170327海外進出の際に知っておきたい、税務のポイント【コラム】

独立行政法人中小企業基盤整備機構が発表した「平成27年度中小企業海外事業活動実態調査報告書」によれば、回答した国内の中小企業の約3割が、海外に現地子会社設立などの直接投資をしており、そのうちの約5割が「今後、事業規模の拡大や機能の拡充(工場の新設等)を図りたい」と回答し、そして約4割は「現状を維持したい」という結果でした。
一方で、縮小や撤退、移転を検討している企業は、わずか7.4%にとどまり、海外に進出した企業は、おおむね現地で好ましい結果を残せているようです。
中小企業が海外に進出すると、現地の企業とだけでなく、日本にある親会社との取引も発生します。国境を越えて経済取引が発生した際、2国間にわたり課税関係が発生することを国際課税といいます。海外に直接投資した日本の親会社は、どのような国際課税制度について検討しなければならないのでしょうか。

外国子会社合算税制

海外の企業や個人から直接投資を誘致するために、税率を著しく低く設定している国や地域があります。このような国や地域のことを「タックスヘイブン」と呼びます。
例えば、日本の中小企業がA国に子会社を設立したとします。日本の法人税率(国税)は最大で23.4%ですが、A国の法人税率は10%とします。企業グループ全体としてみれば、A国の子会社へ本来の価格より安く経済取引をすることで、日本の親会社の所得を小さくし、逆にA国の子会社の所得を多くすることで、全体としての所得税の負担が小さくなり、結果として日本の親会社の税負担も少なくなるということが起こり得ます。
外国子会社合算税制とは、上記のような事態を避けるために、一定の税負担の水準未満(20%)の外国子会社等の所得に相当する金額について、親会社の所得とみなし、それを合算して課税(会社単位での合算課税)する制度です。

過大支払利子税制と過少資本税制

海外子会社を設立する際、当初の資金調達について、資本金として調達するか、日本の親会社からの借入にするか検討する場合があります。一見、親会社からの借入にした方が、借入金に対する利息を経費として計上できるため、子会社の所得も小さくでき、結果的に節税になると考えがちですが、そこに待ったをかけたのが、この「過大支払利子税制」や「過少資本税制」です。
過大支払利子税制は、直接・間接の持分割合が50%以上、または実質支配・被支配関係にある者や、これらの者から債務保証を受けた第三者など関連者への純支払利子等の額のうち、調整所得金額の一定割合(50%)を超える部分の金額について、当期の費用として認めないこととなっています。
また、過少資本税制は、親会社からの出資と貸付の比率が一定割合(原則として、外国親会社等の資本持分の3倍)を超える部分の支払利子は費用とすることを認めない制度です。

上記の制度はほんの一部ですが、前述の報告書によれば、海外進出を決めた中小企業が、準備を進めるうえでの課題として、「海外事業を担う人材の育成」に続き、2番目に「現地の法制度・商習慣に関する知識の獲得」が挙げられています。慣れない国際課税制度について、自身でリサーチするのは時間もかかり、また法改正などにより最新の制度についていけてない場合もあります。本業の海外進出に集中できるよう、国際税務に詳しい専門家にぜひお任せしてみてはいかがでしょうか。

(記事提供/株式会社エスタイル)

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